(記事の目的)
USCPA試験の受験を決めた後にまず考えなければいけないのが受験科目の順番です。USCPAは4科目合格必要ですが、どの順番で受けても問題ありません。4科目の特性や関連性等を考えた上でオススメの順番があります。
さらに2024年度からの新制度で選択科目がありますが、選択科目はBARをオススメしています。
2023年から現行制度でFARを勉強している人には、
内容的に重複するBARがオススメ
これからって人にはバックグラウンドに合わせて選択!
実際に私が受験をしてきた経験や過去合格者の情報から、結論として以下順番をオススメします。
FAR→BAR→AUD→REG
4科目の順番を誤ってしまうと大幅な時間のロスにつながったり、場合によっては内容が理解出来ない、といった可能性が考えられるので、こちらで紹介する内容を元にご自身のケースに合わせてしっかりと検討してください。本記事内容を参考にした上で予備校に相談しながら一緒にスケジューリングすることがオススメです。
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<参考記事>USCPA各予備校の比較に関してはこちら参照して下さい。
USCPAの4科目の構成
まずUSCPAは以下4科目の構成になります。新制度において3つの必須科目と1つの選択科目で順番を考える必要があります。
必須科目
- FAR(Financial Accounting and Reporting):財務会計
- 簿記準1級相当と言われることが多い企業会計の分野です。
- AUD(Auditing and Attestation):監査及び証明業務
- 内容は監査及び証明業務であり、会計士の独占業務である監査業務を体系的に学ぶ科目です。
- REG(Taxation and Regulation):税法及び商法
- 内容は、連邦税法、ビジネス法と職業倫理で構成されています。
選択科目
今までBECという科目でしたが、2024年1月から試験制度が変更され、以下3科目から1科目を選択することになります。
- BAR(Business Analysis and Reporting):ビジネス分析及び報告
- ISC(Information Systems and Controls):情報システム及び統制
- TCP(Tax Compliance and Planning):税法遵守及び税務計画
基本的に選択科目はBARをオススメしています。後で詳しく説明していきます。
オススメの受験科目順番
結論としては以下順番をオススメします。
FAR→BAR→AUD→REG
大きく以下3点を理由に考えています。
- FAR・BARが財務会計分野の科目ですので、まとまって受験
- 次に財務会計と親和性が高い監査分野のAUDを受験
- 最後に他科目と関連が薄いREGを受験
最初の科目はFARがオススメ
最初の科目に関しては、過去の受験生の情報を見てもFAR以外を最初に受けている人を見たことが無いです。
まず、内容的に財務会計分野の内容が他科目の下地となる知識なので最初に受験することをオススメします。BARの管理会計を学ぶ上でも先に財務会計を学ぶべきですし、次のAUDの監査においてもあるべき理論として先に財務会計を学ぶべきです。
さらに、ボリュームから考えてもFARを最初に受験すべきだと考えています。FARが一番ボリュームがあり、FARを合格すればUSCPA試験は4割くらい終わり(気持ちの面も含めて)といっても過言では無いと思っています。
USCPAは科目合格の有効期限がありますので、ボリュームのある科目を後ろに固めてしまうと最初に合格した科目の有効期限が切れてしまう可能性がある為、FARを最初に受験することが望ましいでしょう。
新試験制度で科目有効期限が30ヶ月に伸びても基本の考え方は変わらず
2番目:BAR
私は2番目にBARをオススメします。
今まで2番目の科目は人によって分かれるポイントでした。AUDを選択する人の方が多かったですが、ざっくり2,3割の人はBECを選ぶ人もいました。
ただ、選択科目としてBARを選択する場合は基本的には2科目にはBARを受験することをオススメします。BARの内容は企業会計・政府会計・管理会計といったFARで勉強する財務会計との関連性が非常に高い為、FARの次にBARを2番目に受験することがオススメです。
ISCとTCPを選択する場合は、FARとの関連性が薄くなりますので2番目でも無くても良いかと思います。
- ISC:IT監査や統制の内容が入るので2番目にAUDを受験し、監査の大枠を体型的に理解した後に3科目に受験することをオススメします。
- TCP:REGの応用版なので、REGの後つまり最後の4番目に受験することをオススメします。
3番目:AUD
私は3番目にAUDをオススメします。
内容は監査及び証明業務であり、会計士の独占業務である監査業務を体系的に学ぶ科目です。
監査は、財務諸表が企業会計の基準に準拠しているか、不正やミスがないか確認することが目的ですので、FARの内容をしっかり理解した上で3番目に受験することをオススメします。
会計基準に沿った正しい財務諸表か監査する前に会計基準自体を先に学んだ方が良いよね
最後はREG
最後はREGです。
内容は、連邦税法、ビジネス法と職業倫理で構成されており、他3科目と関連性が薄く最後に受験する人が多い科目です。また、REGの税務処理はFARの財務会計と考え方が根本的に違うので混乱しない意味でREGを最後に受ける人が多いです。過去の受験生の情報を見ても概ね最後はREGですね。
FARの次にボリュームが多い科目であり、会計用語以外にも法律用語や専門用語に戸惑うこともありますが、基本的には暗記する内容が多いです。
選択科目の選び方
今まではBECという1科目でまとまっていましたが、今後は選択科目3つの内1科目を選択することになります。
元々BECは複数分野の内容で構成されていた
今回BECの内容が3つの選択科目に分かれることになりましたが、元々BECはまとまりがありませんでした。FARは財務会計、AUDは監査論、と比較的統一されていますが、BECの内容はコーポレートガバナンス・経済学・ファイナンス・IT・管理会計の幅広い分野から出題されていました。
それが3つの選択科目に分かれる、というのはそこまで違和感が無いと言えます。
3つの選択科目に関しては、基本的にBARをオススメします。
少なくとも2023年から現行制度でFARを勉強している人には、内容的に重複するBARがオススメです。ただ、ISCやTCPに関連する知識・経験を有している人もいるかと思いますので、1つ1つ内容を見て自身に合った科目を選択してください。
今のところ大多数にはBARがオススメ
具体的な内容を米国公認会計士協会(AICPA)の資料を見ていきましょう。
米国公認会計士協会(AICPA):https://www.aicpa-cima.com/resources/article/learn-what-is-tested-on-the-cpa-exam
BARの内容は、Business Analysis、Technical Accounting and Reporting 、State and Local Governmentsの3つのAreaで構成されています。それぞれのエリアの内容を詳しく見ていきましょう。
Area | 主な内容 | 割合 |
---|---|---|
Business Analysis | ・財務諸表分析 ・非財務(・non-GAAP)パフォーマンス測定 ・管理会計および原価計算の概念(差異分析) ・予算会計 ・COSOフレームワーク、ESG | 40-50% |
Technical Accounting and Reporting | ・収益認識 ・企業結合(連結財務諸表) ・デリバティブとヘッジ会計 ・リース会計 | 35-45% |
State and Local Governments | ・政府会計 ・予算会計 ・ファンド | 10-20% |
AreaⅠが一番大きな割合を占めており主に管理会計の内容です。原価計算や運転資本、ファイナンス理論等が含まれており、USCPA全体を通してここが一番計算が複雑な分野だと思います。
AreaⅡは元々FARの上級論点である連結やリース会計、年金給付会計です。すでに(旧制度の)FARで学習した方や簿記2級取得済の人はアドバンテージがあります。
AreaⅢの公会計も元々FARの分野です。ここはFARでの受験時はMCで非常に良く出てくる分野でした。しかも基本的に計算問題ではなく暗記で解ける問題なので、時間を稼ぐことが出来ます。
もちろん受験時期や人に依るけど、
ざっくりMCの20〜40%程の割合、4問に1問くらい公会計の問題が出てたで
以上見てきたように、少なくとも2023年から現行制度でFARを勉強している人には、内容的に重複するBARがオススメです。実際に資格取得後の実務にもBARの内容が一番活かしやすいという人がほとんどではないでしょうか。
次に見ていきますが、ISCやTCPに関連する知識・経験が無い人も基本的にはBARを選択することが無難かと予想しています。
ITの専門性がある人はISCも選択肢となる
具体的な内容を米国公認会計士協会(AICPA)の資料を見ていきましょう。
米国公認会計士協会(AICPA):https://www.aicpa-cima.com/resources/article/learn-what-is-tested-on-the-cpa-exam
ISCの内容は、Information Systems and Data Management、Security, Confidentiality and Privacy、Considerations for System and Organization Controls (SOC) Engagementsの3つのAreaで構成されています。それぞれのエリアの内容を詳しく見ていきましょう。
Area | 主な内容 | 割合 |
---|---|---|
Information Systems and Data Management | ・会計情報システム ・システム可用性とIT変更管理 ・データ収集・保存 ・ビジネスプロセスモデル | 35-45% |
Security, Confidentiality and Privacy | ・情報セキュリティ ・脅威とサイバー攻撃 ・企業側の制御 ・セキュリティ、機密性に対するテスト ・企業のインシデント対応計画 | 35-45% |
Considerations for System and Organization Controls (SOC) Engagements | ・SOCレポートの形式、内容、対象ユーザー ・SOCのプランニング・報告 ・補完的な制御および補完的な機能 | 15-25% |
ISCの内容は、ざっくりIT監査に必要な知識をテストしていると考えてください。つまり、企業の情報システムおよび組織管理に対するIT監査及びアドバイザリーに必要な内容で構成されています。
こちらが米国公認会計士協会(AICPA)が出しているISCの概要です。
The ISC section of the exam focuses on information technology (IT) audit and
米国公認会計士協会(AICPA):https://www.aicpa-cima.com/resources/article/learn-what-is-tested-on-the-cpa-exam
advisory, including System and Organization Controls (SOC) engagements. With
respect to SOC engagements,
AreaⅠでは、情報システムのハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、データベースに関して学習します。監査や財務経理の実務経験があれば当たり前だと思いますが、現在では、仕訳を記録→元帳に反映→試算表を作成、という会計処理の全てをシステムで行う場合がほとんどですので必ず理解必要な分野です。
AreaⅡでより実践的な内容として、企業が受ける可能性のある脅威とサイバー攻撃、その脅威を防止、検出、対応するための制御、関連する規制、規格、フレームワークについて学習します。
AreaⅢでは、委託先の管理としてSOCレポートに関して学習します。
※SOCレポート:外部委託先の内部統制の状況を確認する為の報告書
システム難かしくてここまででお腹いっぱい、、
でも理解していると実際の監査で絶対役に立つ
- SIerの方やセキュリティ関連の経験が有る方
- 情報システム学部出身の方
- IT監査に興味がある人
税務に興味がある人はTCPも選択肢となる
具体的な内容を米国公認会計士協会(AICPA)の資料を見ていきましょう。
米国公認会計士協会(AICPA):https://www.aicpa-cima.com/resources/article/learn-what-is-tested-on-the-cpa-exam
TCPの内容は、Tax Compliance and Planning for Individuals and Personal Financial Planning、Entity Tax Compliance、Entity Tax Planning、Property Transactions(disposition of assets) の4つのAreaで構成されています。それぞれのエリアの内容を詳しく見ていきましょう。
Area | 主な内容 | 割合 |
---|---|---|
Tax Compliance and Planning for Individuals and Personal Financial Planning | ・Tax compliance ・タックス・プランニング ・ファイナンシャル・プランニング | 30-40% |
Entity Tax Compliance | ・法人税 ・非現金財産およびサービス ・寄付および分配 ・パートナーシップ ・免税ステータス | 30-40% |
Entity Tax Planning | ・事業体の設立と清算 ・C法人、S法人およびパートナーシップ | 10-20% |
Property Transactions (disposition of assets) | ・資産処分 ・資産処分で認識する損益 ・資産売却 | 10-20% |
TCPは、REGで学習した米国税法のより複雑なポイントやイレギュラーな取引 + 個人及び企業のタックス・プランニングと個人のファイナンシャル・プランニングという新しい領域で構成されています。
AreaⅠはタックス・プランニング、個人のファイナンシャル・プランニングといった内容です。AreaⅡ〜Ⅳで学習するのが、税法のより複雑なポイントやイレギュラーな取引に関する内容と考えてください。
- 米国のTAXに興味がある人!
- 税務に関連する実務経験がある方
まとめ
ここで紹介している受験科目の順番は、あくまでもストレートに合格していければという内容になります。
合格者の実績を見ても、2回くらいfailすることはよくある平均的なことなので、その場合も踏まえて各科目の全体像・各科目間の関連を意識しておく必要があります。
また、選択科目に関しても、今のところBARが最も無難かと予想していますが、受験データが集まってきた際には、実際の難易度が判明してくると思います。そういった情報も取り入れて選択科目を判断していきましょう。
もしかしたらISC・TCPの難易度がめっちゃ低い!
ってことになるかもやで
4科目の順番を誤ってしまうと大幅な時間のロスにつながったり、場合によっては内容が理解出来ない、といった可能性が考えられるので、こちらで紹介する内容を元にご自身のケースに合わせてしっかりと検討してください。本記事内容を参考にした上で予備校に相談しながら一緒にスケジューリングすることがオススメです。
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