【USCPAの難易度】簿記や公認会計士と比較して難しい?会計未経験者にも可能?

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(記事の目的)

ここでは、USCPA試験の難易度を説明していきます。

USCPAは決して簡単ではないですが、限られた人しか理解出来ないような超難解な問題は出ません。適切な時間をかけて学習すれば理解できる基本的な内容です。

USCPAを知った人は色々な角度で難易度について調べるかと思います。私も合格率勉強時間合格者のスペックといったポイントを調べています。

英語力は必要そう、、、会計なので計算問題もありそう、、、といったことは分かると思いますが、この記事ではさらに簿記2級や日本の公認会計士と比較し、そもそも本質的にどんな学力が必要なのかを説明していきます。

実際にUSCPAを完走してみて、
こういった能力が必要だった、試験を通して伸びた、
という話をしていくでい

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目次

簿記2級よりは難しいが会計士試験よりは易しい

知らない人がいないであろう身近な簿記と日本の公認会計士と比較していきます。

まず、専念して2年以上必要と言われる日本の公認会計士と比較すると簡単と言っていいと思います。同じ会計士試験なので内容の構成は似ていますが、難易度・ボリューム共に大きな差があります。

また、2,3ヶ月〜片手間に勉強して取得する人が多い簿記2級と比較すると難しいです。ただ昨今の簿記2級も難易度が上がっており内容の難易度が大きく上がる、というよりは簿記(財務会計)以外にも3科目あり苦手論点を無くす必要があること、長い時間が必然的にかかってくることで資格取得の難易度が高い、というイメージかと思います。

ちなみに、簿記1級は科目は少ないですが、USCPAのFAR(財務会計)よりも難しいです。

また、USCPA勉強前に簿記2級を持っている人は大きなアドバンテージになっています。

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USCPA公認会計士(日本)簿記1級簿記2級
言語英語日本語日本語日本語
受験日いつでも何度でも自身のスケジュールで受験可能短答式:年2回
論文:年1回
年2回年3回
受験資格・学位要件
・単位要件
参考
範囲・財務会計
・監査論
・税法及び商法
(+選択科目)
短答式(企業法、管理会計論、監査論、財務会計論)
論文式(会計学、監査論、企業法、租税法+選択科目)
・商業簿記
・会計学
・工業簿記
・原価計算
・商業簿記
・工業簿記(原価計算含む)
勉強時間1,200時間〜1,500時間3,000時間〜500時間〜700時間250時間〜350時間
オススメな人・監査を経験したい人
・アドバイザリーや事業会社側(さらには海外)の会計に関してキャリアを広げていきたい人
・日本国内において独立開業をしたい人・財務経理分野での専門家としてキャリアを築いていきたい人・簿記・経理についての基礎知識をつけたい人
・若手で財務経理分野への転職や社内でのキャリアチェンジをしたい人
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試験の内容や勉強時間以外にも、USCPAはそもそも英語の試験という点、さらに受験資格を満たす必要がある点が難易度を高くしています。

ただ逆に科目毎に受験可能であり、自身のタイミングで受験可能なので非常に社会人にとって働きながら取得しやすい試験といえます。

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会計と簿記の違い

簿記と会計士資格の比較については、まず単語そのものの意味を考えると分かりやすいと思います。簿記」と「会計」という単語が意味する領域に分けて考えるべきだと思います。

ざっくり、「会計」というプロセスの中の1要素(手段)として「簿記」があると考えていていただけると分かりやすいと思います。

簿記とは帳簿に記録する手段

まず、簿記とは財務諸表作成のために帳簿に記録すること、その作成方法を指します。

英語にしてもらえると分かりやすいです。英語では「bookkeeping」となり、帳簿(book=お金の流れを記録する台帳)を記録(keeping)することを意味します。なので「簿記」という言葉は帳簿に記録する手段自体を指します。

会計とは財務諸表を報告するプロセス

簿記により取引を記録し作成された財務諸表を報告するプロセスが会計です。

こちらも英語で考えて頂きたく、会計とは英語で「accounting」です。これは説明・報告する意味の動詞(account)からきているので、会計とはお金や物の取引に関して報告することを指します。

また、会計の報告先は、株式会社であれば会計基準というルールに基づき株主や経営者、税務申告に関しては法人税法というルールに基づき税務署が報告先となります。

会計士の領域は会計全体

なので、会計士という職業は簿記作業自体に精通している以上に、会計という一連のプロセスを通して財務情報の信頼性を保証する監査・会計のスペシャリストです。

こちらは日本の方ですが、公認会計士法に定めている文章です。

公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

公認会計士の使命(公認会計士法 第1条):https://jicpa.or.jp/cpainfo/introduction/about/vocation/

範囲が違うから
当然資格の意味も変わってくるで

簿記2級と簿記1級の内容と評価

簿記2級

簿記2級は、取得を志す人が最も多い資格の1つだと思います。簿記3級では内容が簡単過ぎますし、簿記・経理についての基礎知識を持っている証明として簿記2級を求めている企業は非常に多いです。

なので、財務経理等の職種以外でも簿記2級を持っている人は非常に多く、財務経理や類する職種であれば最低限取得を求められる資格です。

受験者数(申込者数)実受験者数合格者数合格率
164(2023.6.11)10,618名8,454名1,788名21.1%
日本商工会議所「2級受験者データ(統一試験)」:https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2

試験問題は「商業簿記+工業簿記」

簿記2級の試験科目は「商業簿記」と「工業簿記」に分かれています。

商業簿記が60点、工業簿記が40点配点の100点満点中70点以上が合格基準です。

商業簿記では、企業会計の会計処理、リース会計や連結会計、税効果会計などを学習します。工業簿記では、製造業企業の内部で製造する製品の原価計算を学習します。

簿記2級は若手の転職で約立つ

簿記2級を持っていれば20代の方であれば、例え未経験でも転職や社内の異動の際のアピールになると思います。

簿記2級のレベル感としては、日本商工会議所によると次のように定義されています。

経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。

日本商工会議所「簿記2級のレベル」:https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2

ただ、30代以降の転職に関しては、基本的に事業会社の経理職に関しては経験者(類似の経験も含めて)しか取らない場合も多いことを考えると、簿記2級だけでは少々難しいと思います。例えば自社でなんとか経理職(類似の経験も含めて)を経験した後に転職を検討することが現実的かと思います。

簿記1級

簿記1級は、簿記資格の中で最高の級位です。 

1級レベルを取得していれば、あらゆる企業のあらゆる経理処理に対応できる知識があるとみなされます。

簿記1級はUSCPA取得済の人でも結構落ちるくらい難しいで

試験問題は「商業簿記+会計学+工業簿記+原価計算」

簿記1級の試験科目は4科目であり、「商業簿記」、「会計学」、「工業簿記」、「原価計算」の試験科目で構成されており、 こちらも合格するには全体の70%以上を正解する必要があります。

簿記1級は財務経理の専門家が取得する資格

上述した通り、基本的には「会計」というプロセスの中の1要素(手段)としての簿記の資格ですが、簿記1級になると科目の中に「会計学」もあり、簿記を超えた企業会計に関する法律・規則、企業の経営管理や経営分析も含む内容となります。

簿記1級のレベル感としては、日本商工会議所によると次のように定義されています。

極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。

日本商工会議所「簿記1級のレベル」:https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class1

簿記2級に関しては必ずしも財務経理部門の方じゃなくても取得している人は多いですよね、ただ簿記1級の難易度や必要な勉強時間も考えると簿記1級まで取得する人は基本的には財務経理系の職種の人かと思います。

簿記1級がオススメな人
  • 財務経理分野での専門家としてキャリアを築いていきたい人

幅広くキャリアを広げたい人はUSCAPがオススメ

日系事業会社の財務経理でやっていく人に関しては簿記1級といった選択肢も有かと思いますが、より幅広く会計に関するキャリアを広げて行きたい人はUSCAPがオススメです。

そもそも試験が英語という難しいポイントがありますが、取得後にキャリアが広がる可能性を考えるとUSCPAはとてもコスパの良い資格であると言えます。

USCPA取得後の代表的なキャリア
  • 監査法人の監査職
  • 監査法人の会計アドバイザリー
  • 会計コンサルやFAS(Financial Advisory Service)
  • 外資系企業のAccounting、FP&A
  • 海外子会社を持つグローバルな日本企業の財務経理

USCPAのFARより簿記1級の方が難しい

会計と簿記の違いも上述していますが、内容としてはUSCPAのFAR(財務会計)は簿記と通ずる内容となっています。

一概に違う試験の難易度を比較することは難しいですが、一般的には簿記2級<FAR<簿記1級の順番で難しいといわれており、難易度としてはFARは簿記1.5級程度と考えてください。

ただ、少なくとも日本の公認会計士試験のような難問や奇問はほぼありません。

USCPA取得前に簿記資格取得は必要無し

結論、USCPA資格の前に簿記資格は特に不要だと考えています。

まず、簿記2級に関してはUSCPAの資格として最初に勉強するFARの内容と重複する内容が多いです。また、基本的にUSCPA予備校では会計初学者向けの講義内容を用意していますし、事前に勉強する必要はなくそのままUSCPAの学習の中で簿記についても学んだ方が良いと思います。

こちらで見てきたように、そもそもUSCPA取得する人は簿記2級を持っている人がかなり多いですが、持っていなくてもUSCPAを取得すれば簿記2級レベルの簿記知識があるということは充分にアピール出来ます。

USCPA取得後に、財務経理職として簿記をより深ぼっていきたい人は必要に応じて簿記1級を取得すればよいかと

広い範囲の基本的な内容を学習

USCPAは広い範囲の基本的な内容を学習する試験です。試験形式としては大量の問題を時間内に処理していく側面が強いです。

TOEICテストや大学受験との比較

TOEICテストや大学受験においての共通テスト(旧センター試験)は明らかに大量の問題を時間内に処理できる能力が問われている試験だと思っています。

一方、国立の2次試験とかは逆で深く考える問題が出題されることもあります。その場合数問の難しい問題が解けるかどうか、というのが問われている種類のテストかと思います。(極端ですが、東大や京大の入試では科目によっては50%とかの得点率でも合格することもありますよね)

実際に勉強すると分かるけど、
USCPAはどの科目も基本的な内容をしっかり抜け漏れなく理解する(覚える)ことが大事

選択問題や計算問題で構成

テストの形式はMCQとTBSという2種類の形式が組み合わさっているテストです。

MCQは4つの選択肢から1つ正解を選ぶ選択問題です。TBSは文章問題で問題によって1つ〜複数の資料に基づいて計算して回答もしくは適切な選択肢を選択する問題です。

こちらに詳しくまとめています。

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大量の問題を時間内に解く形式

なので、例えば日本の公認会計士の論文式のように、問題に対して自身の文章で回答するような形式ではありませんし、基本的にコンピュータ採点なので正誤があり、回答によって評価される採点形式ではありません。

USCPAの試験は時間との戦いです。出題形式を理解し各科目毎の微妙な構成の違いも理解した上で戦略を立ててクリアしていきましょう。

英語力は基本的にReadingのみ

USCPAで必要な英語力はReadingです。

今まではBECという科目でWritten Communication (記述形式)の出題がありましたが、2024年からは廃止される予定なのでWritingも不要となりました。他は上述した通り全科目MCQとTBSで構成されているので基本的には選択問題なのでReading力のみが必要となります。

Written Communication(記述問題)の廃止
現行試験科目BECで出題されるWritten Communication(記述問題)の廃止。新試験制度では、記述問題の出題はなくなり、全て4択問題または総合問題での出題形式となることが予定されております。

abitus「2024年のUSCPA新試験制度」:https://www.abitus.co.jp/information/uscpa/2112042044-uscpa.html

英文法などの出題は無し

Readingといっても、英文法の問題等が出題されることはなく、問われているのはあくまでも会計の内容です。少し会計等の専門的な単語を習得すれば、大学入試レベルの英語力で十分に対応出来ます。

日本の英語学習の特徴として英文法含めてReadingに特化しており、大学入試まで経験している人のほとんどはReadingであれば問題無い人が多いので、USCPAの出題方式に関しては日本人に相性が良いと言えます。

英文「読解力」は必要

英文法の出題も無く、難しい英文が出るわけではないですが英文読解力は必要です。正確に言うと英語に限らない文章読解力が必要だと思います。

中学・高校まで勉強してきた科目だと英語という科目だとやっぱり「外国語」を学ぶという側面が強いかと思いますが、本質的な日本語でも英語でも関係ない文章の情報を処理する能力(所謂国語力と呼ばれる能力)というのが必要だと思います。

国語力の中核を成す領域
この領域は,「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の四つの力によって,構成されている。これらは,言語を中心とした情報を「処理・操作する能力」

文部科学省「これからの時代に求められる国語力」:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/003.htm#:~:text=(1)国語力のとらえ方について&text=は国語力の中核,ができるものである%E3%80%82&text=の諸能力」の基盤,等の領域である%E3%80%82

特にAUDですね、他科目は何が問われているか割と明確なんですが、AUDだけは監査の具体的な実務なので、TBSで何を問われているか、という状況を読み取る力が最も必要だと思います。

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計算問題は多いが複雑な数学は出ない

基本的に数学的な力についてもイメージとして中学数学レベルが分かっていたら充分かと思います。具体的には基本的な掛け算・割り算、一次関数や連立方程式くらいが分かっていれば問題無いと思います。

微分積分とか行列とか難しいのは全然出えへんし
大学受験で高校数学をやってない人ももちろん大丈夫

USCPAの中で一番複雑な計算をする分野を紹介します。

逆に言うと、ここ以外はそこまで複雑な計算をすることは無いです。一番難しい部分の目安として参考にしていただければと思います。

ここで紹介してるトピックだけいきなり見ると、
複雑やなあってかんじやけど実際はちゃんと流れで勉強するからちゃんと理解出来ると思うで

FARの退職給付会計

FARにて退職給付会計について学習します。

内容としては従業員の年金給付金額を勤務最終年度の給与×2%に勤続年数を乗じて〜といった計算をします。この際に現在価値に直す計算等も入ってきて結構ややこしいんですよね。

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ただ、あくまでもFARで難しいのは会計処理自体であり、ここでいうと、☓1年目には将来給付される金額を現在価値に直して、☓2年目にはさらに利息の計算も入れて、ということをしっかり理解することです。

計算自体はほとんど基本的な掛け算・割り算くらいしか出てこないです。

BARの投資・ファイナンス理論

BARにて投資の理論を学習します。

投資なので複利の概念や現在価値・将来価値の違いを理解する必要があります。その上で意思決定をするために、会計利益率法(ARR)や内部収益率法(IRR)等の財務指標を計算するんですが、ここが中々複雑なんですよね。

1つ例として、企業が投資家から資金を調達する際の平均コストである「WACC」を紹介します。証券会社やM&A界隈の方であればよくご存知かと思いますが、以下のような負債コストと株主資本コストの加重平均を計算する複雑な数式を理解する必要があります。

M&Aキャピタルパートナーズ「WACCの計算式」:https://www.ma-cp.com/about-ma/dcf/

まとめ

財務経理以外にも会計領域全般でキャリアを幅広く広げていきたい人にはUSCPAがオススメですし、財務経理の専門家としては簿記1級もオススメです。

今回の話は試験前に必ず必要な学力ということではなく、試験を通して合格までに身についていく学力を説明してきました。さらには、試験合格に向けては本質的な学力以外の対策も大切です。

ご自身のケースに合わせてしっかりと検討してください。

特に時間が無い社会人は、
効率的に勉強進める戦略やコツがめっちゃ重要

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<参考記事>USCPA各予備校の比較に関してはこちら参照して下さい。

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